
金融資産(預貯金・銀行・信用金庫・ゆうちょ現銀行・貸金庫の遺言書の書き方・文例
1)預貯金(銀行・信用金庫・ゆうちょ銀行)の遺言書の書き方・文例
預金債権である銀行預金を相続させる場合は銀行名、取り扱い支店、預金の種類、口座番号、名義等を記載します。
第〇条 遺言者は下記の遺言者名義の預金債権を長女〇〇〇〇(平成○○年○月○日生)に相続させる。 (1)○○銀行 ○○支店 定期預金 口座番号 〇〇〇〇〇 (2)△△信用金庫 △△支店 定期預金 口座番号 〇〇〇〇〇 |
2)ゆうちょ銀行の遺言書の書き方・ひな形
ゆうちょ銀行の総合口座には通常預金、定額貯金、定期預金などがあり、支店名は記号「12345」の中の3桁で表されているので明記する必要はありません。
第〇条 遺言者は下記の遺言者名義の預金債権を長女〇〇〇〇(平成○○年○月○日生)に相続させる。 (1)ゆうちょ銀行 通常貯金 記号○〇〇〇○ 口座番〇〇〇〇〇〇〇〇 定額貯金 記号○〇〇〇○ 口座番〇〇〇〇〇〇〇〇 定期貯金 記号○〇〇〇○ 口座番〇〇〇〇〇〇〇〇 |
3)貸金庫の相続と開扉の遺言書の書き方・文例
最近は銀行の貸金庫を利用される方も多くいらっしゃいます。
貸金庫の相続でよく問題となるのは相続開始後貸金庫を開扉する場合は相続人全員の立ち合いか合意書が必要となり、相続人との関係性がよくない場合はなかなか開扉できない状況となってしまいます。
また遺言執行者が指定されていても貸金庫の開扉の権限を遺言書で明記していないと遺言執行者が、単独では開扉はできません。
スムーズに手続きを進める為に遺言執行者に貸金庫の開扉・解約の権限を付与しておきましょう。
第〇条 遺言者はこの遺言の執行者として下記の者を指定する。 (事務所) 東京都港区三田1-1-1 (職業) 弁護士 (氏名) 斎藤 忠宗 (生年月日)平成○○年○月○日 第〇条 遺言者は、遺言執行者に対して次の権限を与える。 (1)遺言者が契約する貸金庫の開扉、解約および内容の取り出し (2)遺言の執行に必要なその他一切の行為をすること |
証券口座の有価証券(株式・投資信託・国債)の遺言書の書き方・文例
1)株式の遺言書の書き方・文例
財産を正確に特定するため、証券会社、支店名・口座番号と相続させる株式を明記する。
保有している株式・株券を相続させる場合はその保有する株式の会社名と株数を明記します。
保有株数を明記する場合と『○○商事の株式を全部』と明記する事も可能です。また同じ株式を分割して複数人に相続させる場合はそれぞれの株数を明記します。株数ではなく割合で指定する事も可能です。
株式の書き方例① 第〇条 遺言者は遺言者名義の株式を長男〇〇(平成○○年○月○日生)に相続させる 。 株式会社〇〇証券会社 〇〇支店 口座番号0000000 ①〇〇商事株式会社の株式の全部 ②〇〇自動車株式会社の株式の全部 |
株式の書き方 同じ株式を分ける例② 第〇条 遺言者は遺言者名義の株式(○○証券○○支店に預託)を長男○○(昭和○○年○月○日生)と 次男○○(昭和○○年○月○日生)に下記のように相続させる。 ①長男○○ 日本自動車株式会社 5万株 ②次男○○ 日本自動車株式会社 3万株 |
2)非上場株式の遺言書の書き方・文例
株券が発行されている非上場株式を相続させる場合の記載例です。 会社名、券種、記号、番号を記載します。
第〇条 遺言者は下記の株式を長男〇〇〇〇(平成○○年○月○日生)に相続させる。 社名: 〇〇〇〇〇株式会社 本店所在地(東京都〇〇区〇〇) 代表者(〇〇〇〇) 券種: 普通株式 記号: 〇〇〇〇 番号: 〇〇〇 |
3)国債や投資信託の遺言書の書き方・文例
国債や投資信託、公社債などの有価証券を相続させる場合はそれぞれが特定できるように種類、発効日、額面、預託先等を明記します。
例文➊ 投資信託の包括的な遺言書の書き方
第〇条 遺言者はABC証券株式会社〇△支店(口座番12345)に預託している全ての金銭、 MRF、投資信託、公社債等を次男〇〇〇〇(平成〇〇年〇〇月〇〇日生)相続さえる。 |
例文➋ 投資信託・国債などの明細を明記する遺言書の書き方・文例
第〇条 遺言者は下記の遺言者名義の国債および投資信託を長女〇〇〇〇(平成○○年○月○日生)に 相続させる。 (1) 国債 口座番号:東京証券株式会社 渋谷支店1298 名称: 利付国庫債券(変動10年) 記号: 第5回 発行日: ○○年○月○日 金額: 500万円 利率: ○.○パーセント 利払日: 毎年5月15日および11月15日 償還日: 令和○○年○月○日 (2)投資信託 〇〇証券〇〇支店 投資信託〇〇ファンド 償還日2〇〇〇年〇月〇日 500万口 |
遺言書のテンプレート(書き方・文例)とwordファイルのダウンロード
遺言書 遺言者〇〇〇〇は次の通り遺言する。 第〇条 遺言者は下記の財産を妻である〇〇(昭和○○年○月○日生)に相続させる。 1.土地 所在: 東京都〇〇港区〇〇1丁目 地番: ○○番○○ 地目: 宅地 地籍: 150平方メートル 2.自宅 所在: 東京都〇〇港区〇〇1丁目 家屋番号:○○番○○ 種類: 居宅 構造: 木造瓦葺2階建 床面積: 1階150.5平方メートル 2階86.5平方メートル 第〇条 遺言者は下記の遺言者名義の預金債権を長女〇〇〇〇(平成○○年○月○日生)に相続させる。 (1)○○銀行○○支店 定期預金 口座番号 123456 (2)△△銀行△△支店 定期預金 口座番号 876543 株式書き方例① 第〇条 遺言者は遺言者名義の株式を長男〇〇(平成○○年○月○日生)に相続させる。 株式会社〇〇証券会社 〇〇支店 口座番号0000000 ①〇〇商事株式会社の株式の全部 ②〇〇自動車株式会社の株式の全部 株式書き方例② 第〇条 遺言者は遺言者名義の株式を次男〇〇(平成○○年○月○日生)に相続させる。 株式会社〇〇証券会社 〇〇支店 口座番号0000000 ①〇〇製鉄株式会社 5万株 ②〇〇電気株式会社 3万株 非上場株式の文例 第〇条 遺言者は下記の株式を長男〇〇〇〇(平成○○年○月○日生)に相続させる。 社名: 〇〇〇〇〇株式会社 本店所在地(東京都〇〇区〇〇) 代表者(〇〇〇〇) 券種: 普通株式 記号: 〇〇〇〇 番号: 〇〇〇 第〇条 遺言者は下記の株式を長男〇〇〇〇(平成○○年○月○日生)に相続させる。 社名: 〇〇〇〇〇株式会社 本店所在地(東京都〇〇区〇〇) 代表者(〇〇〇〇) 券種: 普通株式 記号: 〇〇〇〇 番号: 〇〇〇 第〇条 遺言者はこの遺言の執行者として下記の者を指定する。 (事務所) 東京都港区赤坂1-1-1 (職業) 弁護士 (氏名) 〇〇 〇〇 (生年月日)平成○○年○月○日 令和○○年○月○日 東京都〇〇区〇〇1丁目○番○号 遺言者 〇〇 〇〇 |
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自筆証書遺言書の書き方と作成のポイント
自筆証書遺言を作成するときは民法で定められた要件に従って作成する必要があります。要件を満たしていない場合は遺言書が無効となってしまいますので要件に従って作成しましょう。
自筆証書遺言を作成するときの要件(民法第968条)
民法第968条は平成30年に改正され平成31年1月より施行され、財産目録について自書ではなく、タイプ打ちや登記簿や銀行の通帳などのコピー添付での緩和が行われました。
1.遺言書の全文を自書する。(財産目録は除く)
遺言者自身が遺言の内容、日付、遺言者の署名を全て自書する事。
パソコンで作成したものや代筆してもらったものは無効です。また音声やビデオの映像での遺言も無効です。
2020年度の相続法改正により財産目録における自筆要件は緩和され、添付書面である財産目録についてはパソコン等による作成や遺言者以外の者による代筆が可能となり、不動産の登記事項証明書、預貯金通帳の写しを添付する事が可能となりました。
2.日付を明記する事
遺言書を作成した日付を必ず自書する必要があります。
令和6年1月3日とか2022年2月4日のように正確に書きます。
令和6年4月吉日など書く場合がありますが作成日が特定できない表現は無効となります。日付のスタンプ等も無効です。
因みに遺言書を複数作成した場合は日付の新しい遺言書が有効となります。
3.署名し押印する
戸籍通りのフルネームで書きます。また正確に人物を特定するため、名前の前に住所を入れるのが望ましいでしょう。
押印は認め印でも問題はありませんが実印がベストです。
4.加除訂正は決められ方式に従う
書き間違いの訂正や追加する場合は法律が定めた方式があり、守らないと無効となります。訂正や追加がある場合はもう一度全て書き直ししたほうがよいでしょう。
自筆証書遺言の書き方・作り方のポイント
民法で定められた要件以外の自筆証書遺言の書き方のポイントは下記のとりです。
1.用紙や書式は自由
用紙や記載内容については特段の要件はありませんが、記載内容は具体的に書き、曖昧な表現を使わないようにしましょう。。
2.財産目録は正確に記入する(自書する場合)
財産目録を自書する場合は正確に記入しましょう。不動産は登記簿通りに書きましょう。間違えると登記できない事があり、遺言通りに実行できなくなってしまいます。
1)不動産の書き方の例
1.土地
所在: 東京都港区白金台3丁目
地番: ○○番○○
地目: 宅地
地籍: 160平方メートル
2.自宅
所在: 東京都港区白金台3丁目
家屋番号:○○番○○
種類: 居宅
構造: 木造瓦葺2階建
床面積: 1階110.5平方メートル
2階80.5平方メートル
2)銀行口座や証券口座の書き方
○○銀行中野支店に有する定期預金
(1)定期預金 口座番号00123456789
(2)普通口座 口座番号98765432100
3.財産目録を自書しない場合(タイプや添付)
財産目録の形式については平成30年の法改正により緩和され、署名押印のほかには特段の定めはありませんので、書式は自由で,遺言者本人や本人以外の人がパソコン等で作成することも可能となりました。
不動産について登記事項証明書を財産目録として添付することや,預貯金について通帳の写しを添付することもできます。
いずれの場合も財産目録の各頁に遺言者が署名押印する必要がありますので,注意しましょう。
4.付言事項を追加しておく。
必須うではありませんが、遺言者の感謝の気持ちなどを追加しておきましょう。
5.遺言執行者を指定する
必須ではありませんが相続手続きをスムーズに進める為に法定相続人以外の第三者を遺言執行者に指定しておくことが望ましいでしょう 。
6.封筒に入れて封印する
法的には規定はありませんが改ざんのリスクを避ける為に自筆証書遺言書は封筒に封印して保存しましょう。確実に遺族が発見できるような場所や貸金庫などの安全な場所に保管がいいでしょう。
平成30年の相続法改正により自筆証書遺言の保管制度が創設され遺言者は法務局に自己の遺言書を保管申請することができます。
法務局の遺言保管官は遺言が遺言の方式を満たしているか外形的審査を行い、データ化して管理されます。
自筆証書遺言の書き方・サンプル


法務局:自筆証書遺言書の書き方と自筆証書遺言書保管制度
👉 法務局:遺言書を作成するときの注意点
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