底地を相続させるときの遺言書の作成ポイントと遺言書の文例
底地のある遺言書の書き方のポイントとは
借地人と土地の賃貸借契約を締結し、借地人が所有する建物がある土地(底地)を相続させる場合のポイントは、
①借地人との土地の賃貸契約書を確認しておきましょう。
紛失している場合は契約書を再度作成しておく事も検討しましょう。
②土地は登記簿の内容を正確に明記しましょう。
誤った場合は遺言が無効となる場合もあります。
③借地人(賃借人)の承諾は当然不要です。
④賃貸借契約の内容を明記する。
●予備的遺言を必ず追加しておくきましょう。
👉 予備的遺言のトラブル事例と書き方・文例はこちら
底地の遺言書の書き方・文例
遺言書 遺言者浅野伊三郎は次の通り遺言する。 第1条 遺言者は下記の財産ををである浅野美津子(昭和○○年○月○日生)に 相続させる。 1.土地 所在: 東京都港区白金1丁目 地番: ○○番○○ 地目: 宅地 地籍: 180平方メートル 2.自宅 所在: 東京都港区白金1丁目 家屋番号:○○番○○ 種類: 居宅 構造: 木造瓦葺2階建 床面積: 1階120.5平方メートル 2階90平方メートル 第2条 遺言者は下記の土地を長男である浅野一郎(平成○○年○月○日生)に相続させる。 同土地の建物所有者〇〇〇〇(昭和〇〇年〇月〇日生、住所新宿区○○2丁目〇〇番〇〇) との昭和〇〇年〇月〇日付け賃貸借契約書に係る賃貸人としての地位を継承させる。 1.土地 所在: 東京都新宿区○○2丁目 地番: ○○番○○ 地目: 宅地 地籍: 180平方メートル 第〇条 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 令和○○年○月○日 東京都港区白金1丁目○番○号 遺言者 浅野伊三郎 印 |
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自筆証書遺言書の書き方と作成のポイント
自筆証書遺言を作成するときは民法で定められた要件に従って作成する必要があります。要件を満たしていない場合は遺言書が無効となってしまいますので要件に従って作成しましょう。
自筆証書遺言を作成するときの要件(民法第968条)
民法第968条は平成30年に改正され平成31年1月より施行され、財産目録について自書ではなく、タイプ打ちや登記簿や銀行の通帳などのコピー添付での緩和が行われました。
1.遺言書の全文を自書する。(財産目録は除く)
遺言者自身が遺言の内容、日付、遺言者の署名を全て自書する事。
パソコンで作成したものや代筆してもらったものは無効です。また音声やビデオの映像での遺言も無効です。
2020年度の相続法改正により財産目録における自筆要件は緩和され、添付書面である財産目録についてはパソコン等による作成や遺言者以外の者による代筆が可能となり、不動産の登記事項証明書、預貯金通帳の写しを添付する事が可能となりました。
2.日付を明記する事
遺言書を作成した日付を必ず自書する必要があります。
令和6年1月3日とか2022年2月4日のように正確に書きます。
令和6年4月吉日など書く場合がありますが作成日が特定できない表現は無効となります。日付のスタンプ等も無効です。
因みに遺言書を複数作成した場合は日付の新しい遺言書が有効となります。
3.署名し押印する
戸籍通りのフルネームで書きます。また正確に人物を特定するため、名前の前に住所を入れるのが望ましいでしょう。
押印は認め印でも問題はありませんが実印がベストです。
4.加除訂正は決められ方式に従う
書き間違いの訂正や追加する場合は法律が定めた方式があり、守らないと無効となります。訂正や追加がある場合はもう一度全て書き直ししたほうがよいでしょう。
自筆証書遺言の書き方・作り方のポイント
民法で定められた要件以外の自筆証書遺言の書き方のポイントは下記のとりです。
1.用紙や書式は自由
用紙や記載内容については特段の要件はありませんが、記載内容は具体的に書き、曖昧な表現を使わないようにしましょう。。
2.財産目録は正確に記入する(自書する場合)
財産目録を自書する場合は正確に記入しましょう。不動産は登記簿通りに書きましょう。間違えると登記できない事があり、遺言通りに実行できなくなってしまいます。
1)不動産の書き方の例
1.土地
所在: 東京都港区白金台3丁目
地番: ○○番○○
地目: 宅地
地籍: 160平方メートル
2.自宅
所在: 東京都港区白金台3丁目
家屋番号:○○番○○
種類: 居宅
構造: 木造瓦葺2階建
床面積: 1階110.5平方メートル
2階80.5平方メートル
2)銀行口座や証券口座の書き方
○○銀行中野支店に有する定期預金
(1)定期預金 口座番号00123456789
(2)普通口座 口座番号98765432100
3.財産目録を自書しない場合(タイプや添付)
財産目録の形式については平成30年の法改正により緩和され、署名押印のほかには特段の定めはありませんので、書式は自由で,遺言者本人や本人以外の人がパソコン等で作成することも可能となりました。
不動産について登記事項証明書を財産目録として添付することや,預貯金について通帳の写しを添付することもできます。
いずれの場合も財産目録の各頁に遺言者が署名押印する必要がありますので,注意しましょう。
4.付言事項を追加しておく。
必須うではありませんが、遺言者の感謝の気持ちなどを追加しておきましょう。
5.遺言執行者を指定する
必須ではありませんが相続手続きをスムーズに進める為に法定相続人以外の第三者を遺言執行者に指定しておくことが望ましいでしょう 。
6.封筒に入れて封印する
法的には規定はありませんが改ざんのリスクを避ける為に自筆証書遺言書は封筒に封印して保存しましょう。確実に遺族が発見できるような場所や貸金庫などの安全な場所に保管がいいでしょう。
平成30年の相続法改正により自筆証書遺言の保管制度が創設され遺言者は法務局に自己の遺言書を保管申請することができます。
法務局の遺言保管官は遺言が遺言の方式を満たしているか外形的審査を行い、データ化して管理されます。