なぜ遺言書は必要?|遺言書の事前準備と作成ポイントをかんたんにわかりやすく解説します。

遺言書の書き方・遺言書の文例集
遺言書の作り方の方法

遺言書はなぜ必要か? 遺言書の作成をお勧めする理由

誰もが自分が亡くなる時のことなんて想像したくないはずです。しかし自分が亡くなった後に自分の大切な子供や兄弟が争う事になる状況はもっと考えたくないことでしょう。 相続人が複数人いて、争いが予想される場合には必ず遺言書の作成をしてお気持ちを伝える事が重要です。 

遺言書の作成が必須な方・必要なケースとは?

1.子供がないおふたりさまの夫婦

遺言書を作成せず伴侶が亡くなってしまった場合は、亡くなった方の親(又は祖父母)が存命の場合は2/3、親(又は祖父母)がなく、亡くなった方の兄弟がいる時は3/4が残された伴侶の相続財産となります。自分が亡くなった時に全財産が伴侶に相続されると勘違いされている方が結構いらっしゃいます。お子様がいない夫婦はお互いに遺言書を作成しておきましょう。

2.相続人がいないおひとりさまの方

独身で親や兄弟姉妹(甥姪)など相続人がいない場合は残された財産は国庫に帰属する事になります。生前お世話になった特定の方に遺贈する場合や団体に寄付する場合などは遺言書の作成が必須です。

3.家業の後継者を指定したい場合(事業承継)

事業の後継者を指定し、その方に事業の基盤である土地や工場及び株式などを譲渡したい場合。

4.ほとんどの相続財産が住んでいる土地、建物のみの場合

相続財産のほとんどが自宅などのように簡単に分けられない場合はトラブルになり易いです。 子供がいない夫婦であれば、兄弟姉妹と自宅を売却して分割するケースや息子や娘が複数の場合も自宅を売却して分割などとなるケースは多くみられます。裁判所で行われる遺産分割調停の約3/4が相続財産5000万以下の場合です。

5.二世帯住宅に住んでいる方

息子夫婦や娘夫婦と二世代住宅に住んでいる場合で子供が複数いる場合、他の兄弟から法定相続分を主張され、自宅を売却して財産分割せざる得ない状況になる事も少なくありません。

6.内縁関係の方

婚姻届けを出していない内縁関係の場合は相手が亡くなってしまった場合は相続人ではありませんので遺産を相続する事はできません。伴侶に財産を残す為には必ず遺言書の作成が必須です。

7・先妻の子や後妻の子がいる等親族関係が複雑な方

再婚をしており、先妻にも後妻に子供がいるが、法定相続分と異なる相続をしたい場合。

8.認知していない子を認知したい場合

遺言によって認知をする事ができ、法定相続人となります

9.相続人以外の特定の方に遺贈したい場合

面倒をみてくれた息子の嫁、甥や姪又はお世話になった知人など法定相続人以外に方に財産を遺贈したい場合。

10.財産を相続させたくない相続人がいる場合

暴力を振るなど素行の悪い息子や離婚訴訟中の配偶者、事実上絶縁状況の養子など、相続人ではあるが自分の財産を相続させたくない場合。

11.行方不明の相続人がいる場合

行方不明の相続人を除外して他の相続人のみでなされた遺産分割協議は無効です。相続財産を分けたり、不動産を登記する事もできません。 遺産分割協議をする為には不在者の財産管理人の選任の申立てなど手続きや時間が掛かります。

でも安易な遺言書の作成はトラブルの元

遺言書を作成する事が必ずしもいい結果を生むわけではありません。 遺言書の内容が独りよがりになる可能性もあり、残されたそれぞれの子供たちが望む形でない場合は、兄弟間の争いの元となるケースも少なくありません。 

遺言書を作成する上でのポイント

遺言書を作る前に

遺言書を作成する前に準備や検討する事はいくつかあります。下記にまとめてみましたので参考にして下さい。

1.自分の財産を調査、整理して財産目録を作成する

自分の所有うする不動産や銀行預金、株券、投資信託等を整理し、不要なものは処分したり、使用していない銀行口座や証券口座などは解約し、整理した上で財産目録を作成しましょう。

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2.財産の配分を考える

財産を誰にどのように相続させるかは残された家族の心情をよく配慮して慎重に検討しましょう。
安易な配分は残された家族間の相続争いを必ず引き起こします。客観的に遺言書の内容を考えましょう。

3.相続人の遺留分を考慮する

被相続人の兄弟以外の法定相続人には法律で定められた遺留分があります。
相続人の遺留分を無視した遺言書は相続トラブルの原因となりますので遺留分を十分配慮して遺言内容を検討しましょう。

4.いろいろな状況を想定して予備的遺言を追加しておく

思わぬ病気や事故で、相続または遺贈する方が先に亡くなってしまう事も珍しい事ではありません。
その場合誰に相続させるのかについても十分検討しておく事が重要です。継承者が先に亡くなってしまい思わぬ方に財産が継承されてしまうケースもよくあります。

5.相続税も考慮する。

相続人が相続税の支払いに困らないように納税資金の準備も考慮し、相続税の専門家に事前に相談しておきましょう。

6.祭祀承継者を考慮する

家督相続が廃止され、お墓を守る事への責任があいまいとなっており、祭祀の承継で揉めるケースもよくありますので継承者を誰にするかも検討しましょう。

7.遺言執行者の指定

遺言内容を確実に実行したり、相続が揉めないようにする為には利害関係のない第三者の遺言執行者の指定をしておくことは重要です。

遺言で指定できる遺言事項とは

遺言書によってなんでも効力が発生する訳ではありませんが、下記の事柄については遺言書で指定する事ができます。

種類内容
相続分の指定法定相続分と異なる相続分を法定相続人に指定できる。
遺贈法定相続人以外の人に財産を贈る事ができます。
認知婚外の子(愛人の子)を子供として認知する。
相続人の廃除法定相続人が遺言者に虐待等を行った場合に、相続させないように指定できる。
遺言執行者の指定遺言に書かれた内容を実行する遺言執行者の選任。

遺言書を作れない人とは

1.15歳未満の未成年者

未成年が契約などの法律行為を行う場合は法定代理人の同意が必要ですが満15歳以上であれば親権者などの法定代理人の同意がなくても遺言を作成する事ができます。

2.意思能力が失った高齢者

高齢者でも年齢による制限はありませんが、認知症など意志能力のなくなった高齢者の遺言は無効となります。

3.成年被後見人

成年被後見人は遺言書を作成する事はできません。 しかし物事を認識する能力を一時的に回復している時に医師2名の立ち会いと物事を認識する能力があった旨の証明書を添付する事により遺言書を作成する事ができると言われていますが、実際はそれに対応してくれる医師は少ないのが現状です。

遺言書の種類

遺言書の種類は普通方式と特別方式の2つがありますがここでは普通方式の3種類の遺言書について解説します。

種類内容長所欠点
自筆証書遺言一般的に利用される方法で、遺言者が全文、日付、指名を自署し、捺印する。
(財産目録のみタイプ打ち可能)
手軽に誰でも作成でき、遺言書の内容を秘密にできる費用がかからない。家庭裁判所で検認が必要。書き方に不備があると無効となる事がある。 紛失や偽造される危険性もあり。
公正証書遺言公証人が遺言者から遺言の趣旨の口述をもとに遺言書を作成し、その遺言書の原本を公証人が保管する。法的に確実な遺言を残すことができ保管される偽造、変造の心配がない。 紛失しても再交付ができる。証人が必要な、手間と費用がかかる
秘密証書遺言遺言の内容を秘密にし、自筆証書遺言よりさらに安全にしたい場合に作成するものです。 公証人に確認を受けた後は自分で保管します。遺言内容を秘密にでき、また偽造、変造の心配がない。内容の不備で無効になる事がある。家庭裁判所で検認が必要となります。

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